抜け殻
佐々木妖精

蝶がカラのペットボトルに止まっている
そこが宿り木なのか
そいついいやつだ
2リットルで1キロカロリーと告白している緑茶だ
そんな人へ着地したかったよ

翅越しのヘルダーリンと目が合った
塔に幽閉された上に障害者年金も貰えなかった
彼の詩集がほしかったのに
届いたのは川村二郎の詩だった

タバコの臭いが嫌いな人と同じ理由で
タバコの匂いが好きだ
理解は誤解でしかないからいらない
マスクをして話し合えればそれでいい

ひと箱分のタバコを頬張り
蝶が止まるのを待っていると
ハラハラとタバコに舞い降りる
透明な鱗粉が零れ落ち
煙と共に消えてしまう
浸み込んだ殻っぽだけを残して


自由詩 抜け殻 Copyright 佐々木妖精 2008-02-21 13:41:14
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