ぬいぐるみと積み木と太鼓
よしおかさくら

ぼくたちはいつだって三人でいた

キミがみつばちを捕まえてほしいと
目の動きだけで云った時も
そうするしかなかった
キミはあいつのもので
ボクははちに刺されることでしか
キミに見つめられない
キミは特別な女の子で
彼氏のあいつと
茶化し役のボクしかいないなんておかしい
でもボクたち以外に見向きもしなかったんだよ、キミは
それを知ってるから

片足だけスキーを履いたシュプールを見せたり
崖っぷちのスミレを取って来たり
とびっきりうまい、
たった一杯のコーヒーを淹れられるようになったりね
キミの笑顔が見たくて
なんて云わない
とにかくキミに夢中だった

どうでもいいことしか頼まれないのは
それはそれで救いだった
あいつには実用的なことしか

人間でいた頃にはわからなかったんだ
ぬいぐるみと積み木と太鼓
ボクは愉快な太鼓で
なぜかいまもいっしょ


自由詩 ぬいぐるみと積み木と太鼓 Copyright よしおかさくら 2008-02-21 11:28:14
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