慈雨
あすくれかおす
静かな
喧噪のなかに在ってさえ
ここはいつでも
静かな水辺なのだ
心に
一本の葦が伸びていく
こんなにも
羨んだり
誹ったり
争ったり
恥じ入る気持ちが
私のなかにはあるが
それらは
靜なる植物の体内を巡って
いつのまにか
受け容れて
おぎない
認め合って
浄化される
いったい
どうして
私はそっと近づいて
無防備な質問を投げかけるが
葦は何も答えない
柔らかな
静けさのなか
水辺にはやがて
慈しむような
雨が降った
自由詩
慈雨
Copyright
あすくれかおす
2008-02-20 22:42:05