車椅子のお姫さま
Lucy.M.千鶴

きみは いつも 僕を見上げる
信頼しきったまなざしで

ある日 僕が、
きみが トイレに行っている間に
いつものかばんを持って
きみの病室から出て
デールームに 隠れる いたずらを した

きみは 不安に なりかけたらしく
僕を見つけると
車椅子で 精一杯 歩みより
小さな 軽い つぶてで
ポカ ポカ
「ひろPの おバカ」って
泣きべそに なりそうになって

きみは、

 きみは、



きみは いつも
僕を見上げる

車椅子になって
その角度は上がり

ほんとうに 仔猫のように 
幼気に

空を見上げるがごとく

ただ、純粋に、


僕の瞳に 瞳を注ぐ


自由詩 車椅子のお姫さま Copyright Lucy.M.千鶴 2008-02-20 16:34:54
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