【こときり】
まいきー
【こときり】
(1)
じ〜〜〜
ぱっ
ぱちっ
ぱちっ ぱちっ
ぱち ぱち ぱち ぱち
ぱ
・・・・・・
これからやっと
盛り上がりそうなところで
線香花火が
力尽きたなら
それはじつは
【こときり】のしわざ
(2)
夜中に目が覚め
トイレに行って
スイッチを押した
とたんに電球が
ぱつん
と
燃え尽きるのは
それもなにげに
【こときり】のしわざ
(3)
もうすぐ
書き上がりそうな
原稿が
不意の
フリーズで
フイに
なってしまったら
それもどうやら
【こときり】のしわざ
(4)
彼氏に贈るために
セーターをあみはじめた
はずなのに
できあがったのは結局
マフラーだったりする
のもやっぱり
【こときり】のしわざ
(5)
「それは ほんとに
ちいさくて まるっこくて ふわふわ していて
いつも あなたの そばに
そう たとえば
パラシュート花火が 夜空をまうのを 見上げている
その足下とか
金木犀の 香りのする いれものの
うしろとか
使っていない 5インチベイの
すきまとか
毛糸だまの 入ったカゴの
なか とかに
まぎれこんで
あなたに いたずらする 機会を
くるっ と
まるまり ながら
まって いるのです」
という
これがいわゆる
【こときり】のうわさ