夜行列車
秋也

いざ夕闇に
射して然したる
光は薄く
消えゆく街は
幼子抱えた母子の様
菊一花
憑かれて
泣いた
疲れて
逝く
衝かれて
イク
その塩梅に
生甲斐を見出し
夜の中
光一筋探しては
見失う
寺の灯籠
火を燈さず
すかして空は
禅堂なり
隗百絵
私が欠いた
数々
土となり
水となり
それでも光を探す

失踪した
猫のよう
あの子は
死に場を選んだか
苦しまず
光の中で
つつがなく
朝がきたら
光で溢れるから
それでは無意味だと
昔の昔に
父が
縁側で
ぽつりと
教えてくれた
「夜に光を探しなさい」


自由詩 夜行列車 Copyright 秋也 2008-02-20 04:10:31
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