夜行列車
秋也
いざ夕闇に
射して然したる
光は薄く
消えゆく街は
幼子抱えた母子の様
菊一花
憑かれて
泣いた
疲れて
逝く
衝かれて
イク
その塩梅に
生甲斐を見出し
夜の中
光一筋探しては
見失う
寺の灯籠
火を燈さず
すかして空は
禅堂なり
隗百絵
私が欠いた
数々
土となり
水となり
それでも光を探す
昔
失踪した
猫のよう
あの子は
死に場を選んだか
苦しまず
光の中で
つつがなく
朝がきたら
光で溢れるから
それでは無意味だと
昔の昔に
父が
縁側で
ぽつりと
教えてくれた
「夜に光を探しなさい」