「離別」
菊尾
言葉に溶かされて
解けないようにきつく縛って
精巧なもつれ合い
眼差しはわざと冷たく
仕草だけを頭に残す
置き去りにして後味は吐き捨てて
どうなったって構わないなら
ゆっくり首を絞めてあげるから
たくさん爪を食い込ませてよ
背中に肩に額に
消せない痕を残してよ
尖らせた舌の先は骨を愛でるため
合わせる歯と歯で鳴らす音
引力がまだある内に
体も心も重なり合って
君が望む終わりの無い夜
もう何も心配することはない
隙間の無い静寂に包まれて
おやすみなさい
今までの色々
これからの全て
鈴の音に連れられて先を行く君が見えるよ
あとは足を揺らすだけ
あっちの空はどんな色?
僕は今
静かに笑ってる