「離別」
菊尾

言葉に溶かされて
解けないようにきつく縛って
精巧なもつれ合い
眼差しはわざと冷たく
仕草だけを頭に残す

置き去りにして後味は吐き捨てて
どうなったって構わないなら
ゆっくり首を絞めてあげるから
たくさん爪を食い込ませてよ
背中に肩に額に
消せない痕を残してよ

尖らせた舌の先は骨を愛でるため
合わせる歯と歯で鳴らす音
引力がまだある内に
体も心も重なり合って

君が望む終わりの無い夜
もう何も心配することはない
隙間の無い静寂に包まれて
おやすみなさい
今までの色々
これからの全て

鈴の音に連れられて先を行く君が見えるよ
あとは足を揺らすだけ
あっちの空はどんな色?
僕は今
静かに笑ってる


自由詩 「離別」 Copyright 菊尾 2008-02-18 17:50:53
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