青を、
Rin.
くしゃみをひとつする、と
私たちは地球儀から滑落して空に溺れる
あの日グラウンドから送った影は
手をつないだまま鉄塔に引っかかっていて
捨てられたビニールのレインコートのようだった
バス停が流れてきても
相変わらず学校だけはちゃんとあって
3組の窓枠に彼女がしがみついていた
私より息継ぎがうまいのだから、いっそ
手を放してしまえば自由になれるのに
待ち合わせの駅前にはもう誰もいない
これでやっと、本当にひとりになれるのだろう
*
最後の校歌も青に沈んで
そういえば私、どうしてここに
理科棟の洗い場で鏡を見つめていると
みるみる髪の毛がささくれて
私が溶けはじめる
そうやって体が広がってしまうから
どうにも隠れることができない
卒業という単位から
*
名前も知らない青を泳いで
私たちはひとつずつくしゃみをする
繰り返すサヨナラのように