「 だからぼくは書いてオナニーして読まれてセックスしたい。その一。 」
PULL.
一の一。
恥ずかしながら、こうした何かしらの文章を書くようになってから、アダルトなもの、いわゆる"AV"を見るようになった。
最低、週に二、三本は流し見ている。この数が多いのかどうかはよく解らない。
でもまあ見ている方だと、自分では思って、いる。
AVは、DVDなどの物体として買い集めたりすることは、ない。
この空間も、手狭で限られて(ただでさえクラシックやロックの「山脈」に埋もれて遭難して)、いる。
だからAVは、信号として買って、いる。
一の二。
「IT革命」。
何代か前の「カクメイ」を頑なに否定する保守的なセイトウの代表でもあるとある森の中の神の国の島国のシュショウが、そう連呼して、いた。時代があった。
当時ぼくは、大の「IT嫌い」で、それ(IT)を気持ち悪いぐらい毎日、テレビから連呼するシュショウもそのシュショウのセイトウも支持していなかった。大っ嫌いだった。
ぼくはまだ、青二才だった。
一の三。
「カクメイ」。
それ(IT)はいつの時代も甘酸っぱくて、ぼくら青二才の身体を熱く、燃えたぎらせる、だけどそれ(IT)は一過性の熱病であり、いつか熱は下がり、最後は凍え、餓え、それ(IT)は悲惨な結末を迎えるものなのだ。
一の四。
「IT革命」「IT革命」「IT革命」。
そう連呼していたあの森の中の島国のシュショウは「カクメイ」の行く末を見届けることもなく超低空飛行で退陣し、めでたく戦後何代目かのモトシュショウとなり、今度は森、ではなく藪の中に、いそいそと引っ込んで(クロマクになって)しまった。
ぼくは今、あの頃のように青二才ではない、もう青二才ではいられない。けれど今も。彼も、彼のセイトウも、彼の神の国も、ぼくはまだ支持して、いない。
彼らの「カクメイ」はぼくを「カクメイ」することは出来なかった。
一の五。
あの「カクメイ」が過ぎ何年かした頃、ぼくはとある事情により、この電脳を、手に、入れた(実際は大枚を叩いて「買った」のだが…)。
そしてまた何年かが慌ただしく通り過ぎ、いくつかの、恋をして、恋を喪い、ぼくはまたさらに青二才ではなくなり、気が付けば、接続され、こうして毎日のように何かしらのものを書いてこの空間に、曝して、いる。
一の六。
何かしらの文章を書くようになってからぼくは、それ(IT)を見るようになった。それ(IT)はいつも信号としてやって、来る。それ(IT)はこの島に毎日クモの巣のように張り巡らされた旧国営企業の重金属の回線を伝いこの電脳に読み込まれ三年前に電脳通販で買った島国製の外付けHDの中で高速で回転し続けるなめらかな円盤に磁気として記録されて、いる。
一の七。
今から話すことは、ぼくと、きみだけの秘密にしておいて、欲しい。
もしかしたら、あの「カクメイ」は成功したのかもしれない。青二才ではなくなったぼくの中で、それ(IT)として、彼らの思ってもいない方法で、「カクメイ」は勝利したのかも、しれない。
それ(IT)とはつまり"AV"
アダルトビクトリーな方法で。
つづく。