情景と関係
秋也
赤縛の空
薄く研いだ朱墨をぶちまけたように
赤が漏れ出していて
まるで感情のよう
それは女性
それは幼児
それは永遠の少年
隣で手をつないでくれる憧れの君は
少し飽きたように
空を仰ぎ
目に映すのは
雲か
リアルか
宇宙か
妄想か
解放された空間は
嘘をついて咽かえる程に何かが溢れているから
「寒いし、お腹空いた」
笑って少し膨らんだ頬がやっぱり赤い
光の加減
君の機嫌
悪くないらしい
君が笑顔でいてくれることが嬉しい
空が赤く縛られていることが嬉しい
お腹が空いたと教えてくれるようになったことが嬉しくもあり
終わりに向けての寂しさでもある
夕焼け
いつも二人で見とれてしまって
名残り惜しく
「何食べる」
と惚けながら返事が遅れる
今、空は赤く固まっている
二人の関係も縛れるだろうか
朱墨を傾けて溶かしたような今
関係はきっと溶け始めている
雲が風でかるく流れているから
きっとそう