滅ぼされたオーデュボン
ゆるこ

屈折する光の中で
溶け込もうと腕を伸ばしたのは
過去と未来を行き来する
案山子に憧れてしまったから
 
猫の町は霜だらけで
悴んだ感情を抱き締めるのに温度が足りなくて
なぞりながら捨てようと
世界は躍起になっていた、よくおほえている
 
何かから離れる度
何かの言葉を忘れて
日に焼けたセピア色の残像を
片手で掴むこともできなくなった
 
舗装された歩道で
音を鳴らして歩いたり
24日に
贅沢をしたり
 
 
なにかを失っても
気付かなかったり
 
どうでもいいことを
祈ってみたり
 
 
踵のない足に
地球はのしかかる
わたしはその罪のなかから
逃れる術を まだしらない
 


自由詩 滅ぼされたオーデュボン Copyright ゆるこ 2008-02-17 18:20:24
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