one
ミョウリ
間違いを消すため
線を引いても
塗りつぶしてしまえば
背景になる
感情は適当だ
哀しみも幸せも
よく似ていて
冬空、
小さな水滴で
曇った窓越しにはいつも
月に小さな顔をえがく
彼は間違いなく笑っているのに
指は水の粒をあつめて
月を泣かせるんだ
他にどんな幸せがあろうが
毎晩のようにね
誰かの所持する感情に
あたしが言葉をもつのは
ズルい
例えばその涙が
哀しみなのか
そうじゃないかなんて
そんなことあたしには
分からない
冬空、
月の出ない夜にも
幸せはあるし
哀しみはあった
この指が唯一
君を泣かせてあげられる
クスリになるなら