ノート(はざま うたう)
木立 悟
至るものがあるだろう
夜に空を飛ぶだろう
けだものの背を知るだろう
木の枝の卵を
星のそばに添え
とどろきは止む
くらやみが
くらやみにまたたき
つらなりを明かす
ひとりではいられないのに
ずっとひとりでいるだろう
つづかない花があるだろう
指と指に満ち
甲へ流れ
手首に積もる輪
光が泳いでいる
光の泳ぎ方で
進む
音が音を押し
回るものはゆうるり回る
抱くことも 抱かれることもなく終わる
破れた布の顔のむこうに
もうひとつ布の顔があり
片方が泣き 片方が哭く
背の大きさの風が降る
卵のような種が降る
朝が来るまで うたう
道の先は無く
水の輪が群れる
星をひとつ見る
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