出会い
小原あき

液晶の画面の中では
愛と恋とが
消費されて擦り減って
それでも笑顔を忘れずに
人間の傍にぴたり、と
まるで一人では生きられない
飼い馴らされた犬みたい


マニュアルなんて
何も知らないし
知らなくても良いと思ったし
それがわたしだから
他の人が恋愛を飼い馴らそうが
わたしはろくにそれに餌もやらずに
互いに距離を置いたまま
親睦を深めることもなく
平行線を辿って育ってきた


おかしなもので
それでも誰かが機会を与える
餌の足りない
無表情なわたしの恋愛は
愛嬌たっぷりなその恋愛に
解されて
いくらか感情を取り戻した


そうなると
いくらか生きにくかった世界が
大分生きやすい気がした
平行線がくっついて
一人だと怖かった場所が
二人だと素敵に変わる


恋愛も喜んでいる
わたしも喜んでいる
見上げることを覚えたわたしたちは
これが出会いだと知った


世界って広い







自由詩 出会い Copyright 小原あき 2008-02-13 12:30:31
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