氷点下
乱太郎

霧状に浮揚していた
掴みどころのない感情が
白い雪の下に沈殿していく
獣たちの目を避けて

二月の
星々の輝きが溶けていく
冷たい明けの刻
氷の群れが叫んでいる時刻

眠りなさい
と部屋の片隅から聞こえてきたような
暖炉の火は
赤く踊り続けて
終わりのないワルツに
酔いしれている

窓の外では
木々でさえ
眠っているのに

眠ろうか
でもどこにこの身体を置けばいい
空のままで
冷え切ったままで

無愛想な時間の響きは
憂鬱を消してくれるだろうか
いや
燃やしてしまってほしい


どこからか
犬の吠える声が

真っ白のノートに
言葉を縫うことのなかった今夜


君のいない夜を過ごして


自由詩 氷点下 Copyright 乱太郎 2008-02-12 19:26:53
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