「filmy」
菊尾
綺麗すぎて壊したくなるから
透明だから近付いて汚したかった
雨に濡れていたいんだって
誰かに逃げてばかりで
肩に髪が張り付いていた
瓦礫の中から積み上げていくもの
崩れた僕たちには儚さなんて全く無くて
剥き出しな僕たちはいつもベッドの上で
感じ方を忘れるくらい触れていたんだ
低血圧
直らない寝癖
欠けた爪を気にする
髪を口に含んでふざけて笑う
月明かりの病的な肌
膜が張ったみたいに働かない頭
純粋すぎたなんて笑える話
誰かを信じたかっただけ
指から伝える
擦り切れて破れているけど
僕たちはまだ生きられるはず
少しでいいよ
嘘でもいいよ
だから愛して
逃げる場所なんて
もうどこにも無いのだから