子供の悪戯〜現代詩フォーラム編
小川 葉

現代詩フォーラムの
はじめましての投稿欄に
小川 葉さんの投稿があった
同姓同名なんだなあと思いながら
投稿内容を見ると
すべて脈絡のない
アルファベットと記号の羅列で
ウィルスコードのような
危険な匂いが漂う奇妙な文体で
僕は、ついに来たか、超次世代の詩人!
と、期待に胸を高鳴らせて
その、小川 葉さんをクリックすると
自分のページが開いたので
おや、と思った

三歳になる息子は最近
僕がパソコンで詩を書いていると
「コレナーニ」と
質問するようになった
「ナンデモナーイ」と
茶化すのだが
爛々と目を輝かせ興味津々の様子で
じっと観察し続ける

また息子は最近
簡単な単語を読めるようになった
しかしそれは読むというより
認識する、という方が近く
例えば「ドラえもん」の
「ド」を「ド」と読むのではなく
「ドラえもん」という
ひとかたまりの文字を見て
これは「ドラえもん」なんだな
というふうに認識している

つまり息子が僕を見て
「お父さん」と認識することに近く
だとすれば「お父さん」である僕は
文字でありまた言葉であり
そこには言葉同様
一つないし多様な意味が
内在しているということなのである
そのように子供から学ぶことは
とても大きい

現代詩フォーラムの
はじめましての投稿欄にあった
小川 葉の投稿は
どうやら息子の悪戯によるものだった
あわててすぐに削除したので
なんとなくしか覚えていないけれど
脈絡のないアルファベットと
記号の羅列ではあったものの
それは詩のかたちをしていた
絶妙な改行や段落の
詩のような構成があった
彼は彼なりに
僕が詩を書いているのを観察して
詩を書いたつもりだったのかもしれない
そう思うと
なぜだか熱いものがこみあげてきた

かたちから入るのもわるくない

お正月以来
ちょっと不自然な距離を
縮めきれないままだった実家の親に
息子の写真を送ることにした
きっとそれがなにより
言葉として伝わるかもしれない
内在する意味については
それから考えることにしよう




追伸:片野さん、びっくりさせてしまって、ホントすいませんでした…


散文(批評随筆小説等) 子供の悪戯〜現代詩フォーラム編 Copyright 小川 葉 2008-02-11 04:19:37
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