地図
小川 葉

同じ高さの
等高線を歩いてたら
あなたに出会ったので
二人は等高線を
同じ色で塗り潰した

眼下には
果樹園の地図記号が
広がっていた
まるで恋のように

山頂を示す記号は
まだ遠いけれど
僕らは力を合わせて少しずつ
等高線を塗り潰していった

やがて結婚するために
教会の地図記号を書き加え
子供が生まれるので
病院の地図記号を
仕事が見つかっては
工業地帯の地図記号を
書き加えていくうちに
僕ら家族は次第に
地図らしくなっていった

息子が友達と
遊ぶようになった頃
真っ白だった
彼の地図に
はじめて
公園の地図記号が
書き加えられた

ほとんど
埋め尽くされてしまった
僕の地図と違って
息子の地図には
まだまだたくさん
可能性がある


自由詩 地図 Copyright 小川 葉 2008-02-10 03:05:13
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