アースシャイン
夏野雨

一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる

呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま

ふりむけば
うすい
半透明の
殻が
ひとまきの
重なった
レースの
模様のようだ

世界がいつもあたらしく目覚め続けるならば
受けわたされる熱は
熔けた
鉱石の
直視できない橙色で

空気にさらされ
表面に
皮膜を囲んでは
こらえきれず
こぼれる

そのあかるいところ
ぼくたちが
居る、とする
中心から
落ち続けて呼び合う
軌道

月は
毎秒0.136cmずつ
地球に落下し続けているが
このふたつの天体が
衝突せず一緒に飛び続けられるのは
互いに引き合う力だけではなく
自らが目指した方向へ
それぞれ進もうとする力が
同時に働いているためで

遠心力と
それを呼ぶならば
ぼくたちが
互いの姿を
見つめ続けるためには
おのおのが
ひとしく
生まれ持った孤独を
どこまでも保たなければならない

みあげる
月の
隠された
あお
にじんで
ひかる

アースシャイン
見えるだろうか
見えるだろうかそこから

満月より
ずっと
あかるい
碧が

水をたたえた
ぼくの
やわらかな孤独が









自由詩 アースシャイン Copyright 夏野雨 2008-02-08 19:46:00縦
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