消しゴム
小川 葉
真っ白な消しゴムで
夜の闇を消すと
鉛筆を持った妖精が
朝を描く
僕は思い出す
間違えては文字を消し
覚えたての言葉を
何度も語り直していた
たとえ間違えても
きっと正しいことがある
それが口癖だった母も
いつも何かを
消してばかりいた
今朝は妖精が
朝を描き間違えて
雨が降った
自由詩
消しゴム
Copyright
小川 葉
2008-02-07 14:04:32