parallel contradiction
あすくれかおす




呼び声が 
何処からか聞こえるような
そんな日に立ち止まると いつも
湿った空気を感じるのは 
何故だろう

どうでもいいことさえ
何かの力を帯びていて
私は今日も 
精神のフープをたゆたって
朱に染まる空を 
玻璃ごしに 見送っている


昨日見た夢は 現実になるのでしょうか


私がそこで見たものは 
際限のない日なたの世界
反復する公園の遊具と はしゃぐ子供たち 
日だまりで眠る 真新しい猫の家族

私がそこで聞いたものは
懐かしい木霊の嘶き
さんざめく 小さき命のビブラートが
繁茂して伝わる 
故郷の森が そばにいるような
忘却の安堵感が
私の想いを包んでいた


夢の行方は もう忘れます
忘れるけれど 
できることなら
今日の私
貴方のそばにいたい


一体僕は
いくつになるまで 
今日と同じでいられるのかな
ビスケットが弾けるみたいに笑う
君のそばで
いくつになるまで 
歳をとっていけるのかな 

夕闇が不安の狭霧で満ちている
不時着しそうな甘ったれた期待を
敢えて音色にはすまいと 
理知の蓋で
賢しらに感情を閉ざして 
今は 別の雰囲気を物語っている 


昨日見た夢は 現実になるのだろうか


僕がそこで見たものは 
青い丘の静謐な家屋
大きな凪をグラインドする海鳥 
必ずここに帰ってくる 橙色の空
 
僕がそこで聞いたものは 
追憶の中を走る汽笛
若者たちの 打ち上げ花火の夜音がそれに連なる
無邪気に 水平方向に海面を滑って 
漁火のような煌めきを
僕の心象に灯していた 


夢の行方は どちらでもいいよ 
どちらでもいいけど
なるべくなら 
今日の僕
君のそばにいたい






自由詩 parallel contradiction Copyright あすくれかおす 2008-02-06 22:28:54
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