レイン
春日

空色のアンブレラだけを携えて田んぼの中を無限に進む



図書館でお勤め始める母さんに「いち早く借りてきてよね 太宰の新刊」

赤い爪とそれが持つ黄ばんだ『人間失格』のコンビをずっとずっとずっと見ていたい
 



あの日のこと、今もはっきり鮮明に。  時計が壊れたまんまだからだ

ちょっと前に雨、やんじゃった。 きみが言うからあわてて水溜り蹴飛ばしてみた



近づけば近づくほどに遠くなる 追いかけっこだとずっと思ってた

ラストデイのラストは最後という意味じゃなくずっと続くという意味で使う

ポケットに隠したマッチ一本で震え続ける夜を葬る

足跡を追うのが終わる三日前今度は追われたい三日後から

仰ぎ見る青が遠くてたまんないからとりあえず心のスイッチをオフ



『でも』『だけど』ばかりじゃ予定が決まんないから接続詞無しの会話にしよう


短歌 レイン Copyright 春日 2008-02-06 20:08:47
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