いくばくか
佐々木妖精

蛍光灯の下で瞼を持ち上げていた
抒情を説明する受話音に押し潰され
前髪の奥で景色が点滅して途切れ



ひとりという状況を
さみしいと説明する人に
目を留めず
日々を大股でまたぎ
つなぎっぱのバッテリーは
膨張していく


はみ出していく携帯を
何度も折りたたむ



部屋を埋め尽くしたワンセグ の
電池が
1つ
また1つ
頭の裏側で
警告もなく
消えていき

加速する寿命の上で
老後のことなんか考えて

きみを持ち上げていた
ひとりを訴えるきみに押し潰され
抜け落ちた掌で
背中のキーを読む

ブルッた


自由詩 いくばくか Copyright 佐々木妖精 2008-02-06 10:40:33
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