happy birthday
凛々椿

僕は生きているはずがない。
だけど、
いつもの朝焼けの色が、僕の心を負かすから。
生きているのかもしれない。


閉じた瞼に、浴びられるだけの赤を浴びる。
太陽からは血の匂いがする。
僕は空想に夢中になる。
今、僕の周りにたむろする朝帰りの、
若者たちの無数の体を、
屠れ。
引き千切るんだ。
そして瞼を開くと、誰も、

いない。


ゆるりと歩き出す僕の、
右足は、欲だらけの赤子を蹴飛ばした、右足。
僕の左足は小さい頃に、
路上でひなたぼっこのカマキリを踏み潰した、
左足。
歩きながら僕は、傷だらけの右手を陽光に透かして、


ひとつ思い出したのは、
この人差し指には蟻の亡霊が、
十数年も、
取り憑いているはずだということ。
君はずっと、
僕のそばにいた。

それで僕は、やっと泣けたんだ。


明日は、僕の誕生日。




自由詩 happy birthday Copyright 凛々椿 2008-02-04 09:28:14
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