hotter than the sun
rabbitfighter

渋谷の外れにあるバーに入ると、スロウな音楽が流れていた。奥のほうのソファに身体を沈めると、隣にお日様が座っていて、誰も彼女に気付かないようだった。それもそのはずで、月や星はあんなにキラキラと光っているのに、彼女と言えば分厚いコートで光りや熱を包み込んでしまっていたから。お日様と酒が飲める機会なんてそうはないと思うと、その日はいつもより余計に美味く感じた。彼女のしぐさやしゃべり方はとても素敵で、俺はすっかり夢中になってた。誰だってそうなるよ。何せ彼女はお日様だから。時間がたつのも忘れて俺たちは話し続けた。このまま朝まで過ごせればいいと思った。それは完璧な考えだった。でも彼女は時計に目をやると、もう帰らなきゃ、電車が無くなるからなんて言いやがる。おいちょっと待てよ、俺たちけっこういい感じじゃないか、そういって俺は彼女の手を取った。その手の暖かさは、36度くらいの、普通の女の子の暖かさに思えた。コートのボタンに手をかけると、彼女は俺の手をつかんで俺を止めた。コートを脱げば、私の身体は1600万度に燃えているのよ。それでも私を愛せる?そう言われて俺は駅に入る彼女を見送るしかなかった。

まったくその通りだ。
彼女と寝るなら、お日様よりも熱くなくちゃ。hotter than the sun


自由詩 hotter than the sun Copyright rabbitfighter 2008-02-03 21:37:25
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