みつあみをしたばけねこに
榊 慧



あっさりしたCDプレイヤーはどうかしら?
ねえねえ、君、いくらだい?
今にも崩れそうな掘建て小屋が並んだその影で、
俺は何かを埋めたようだ。
俺の意志から離れてしまったように上下運動を繰り返している。








クラッシュピンカァのガラスが割れた、日。
みつあみをしたばけねこに俺の左手を持っていかれてしまった。
ぽたりぽたりと滴っている。
それほど冴えてはいなかった。


じわじわと湿ってきているのがわかる。
微妙な合理主義の塊。
お願いだから、これ以上遠くへ飛んでゆかないで。








うすむらさきの折鶴は机の上で散らばっている。
太陽が忌々しく呪ってる。
見えなくて、さびしい。


ダイヤモンドダストのメロディで。
今夜は少しの余裕を持って。
明日には融けてるといい。








触れたのは、背骨。
純情廃棄と浪漫殺伐。
動くのが面倒になってきた。
ちらちらと雪片の舞い落ち始めた夜空を見上げ、
ああウザいな、と、ぽつりとつぶやく。


倒れこんでやろうか。
ゾクゾクする。
ああああああ…と叫びたい衝動に駆られる。
、相変わらずの、仏頂面。








とけない魔法を俺が知ってれば良い。
少年モラトリアム。
ひんやりとする指先と火照った顔。
アンバランスな中心のまま崩れていく。


だまされるなら、ジレンマと共に最後までが、理想。
うすい手帳の中身は葛藤で。
全ての内容はボールペンの先。
また、目の前を、
みつあみをしたばけねこが消していく。




自由詩 みつあみをしたばけねこに Copyright 榊 慧 2008-02-02 22:05:19
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