出会うこと
小原あき
立ち止まったところに
誰かの欠片が落ちていたので
拾い上げてから交番に届けようとしたら
持ち主らしき人が
不安を抱えたてこちらへ歩いてきたので
「捜し物はこれですか?」
と欠片を差し出したら
「そうです、これです」
と不安を落っことして
欠片を両手で受けとめた
落っこちた不安が
「痛い、痛い」
と言っていたのを見ていたら
それに気が付いて
私の体をよじ登ってきたので
「違う、私じゃない」
と払い除けようとしたけれど
もう覚悟を決めた様で
今では頭の天辺に来てあぐらをかいている
このような一連の流れから
未だに次の変化が訪れないので
私の頭には
未だに不安があぐらをかいている
誰かに新しく出会うと
必ずこの流れが起こって
再び同じ人と出会うまで
不安は頭から降りてきてはくれないのだった