戦場
竜門勇気

塹壕の中で
首すら出さずに
叫び続けた
浅い切り傷
深い損失

奴もあいつも
薄ら笑いが
顔について落ちない

仲間も随分減った
部屋の中に
赤いLEDランプ
長い列になって
アンプフィリアの中
生命線の轟音
これが消えたら
完全に消えたら
俺も終わったと思ってくれ

窓の外は雪
スピード感溢れる
世界の本当の速度だ
武装列車
横切っていった
勉強 暮らし 満足
俺の戦場は
それが言えたら
それが分かったら
俺も終わったと思えるだろう

俺の塹壕戦は
まだ長く続きそうだ
雪が吹き飛ぶ
風がいつまでたっても
やまないように
世界はそのために
進み続ける
穴蔵の中で一人
もう辺りには誰もいない

首も出さず
遠ざかる世界を見る
燃え上がりそうな
腐りきった足
切れる!切れる寸前だ!
走り出したい
あの腐った足を捨てたい!

アンプフィリアの中
途切れがちな轟音
これが消えたら
完全に消えたら
俺も終わったと思ってくれ

揺れている
列車が揺れている
揺れている
列車が揺れている


自由詩 戦場 Copyright 竜門勇気 2008-02-01 01:32:34
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