高校生
草野春心



  君を見ていた
  寒い冬のこと
  白い白い雪の午後



  運動場の倉庫にもたれ
  二人は並んで立っていた
  ブラスバンドの音がした



  バーバリーのマフラー
  手袋の握りこぶし
  うつむく横顔



  吐き出した白い息は
  唐突な僕の言葉
  曖昧な季節が消える



  君の柔らかな部屋のなかで
  いっぴきの蛍が死んでゆくのを
  僕は見た



  何をすべきだったんだろう
  僕に何が出来たんだろう
  君は誰だったの?



  心にできた一つの空席
  次の言葉を見つけて忘れた
  次の言葉を見つけて忘れた



  君を見ていた
  信じられなくて
  君を見ていた



自由詩 高校生 Copyright 草野春心 2008-02-01 01:23:08
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