影遊び
麒麟

特に取り柄もない私でも
唯一確実に操れる
彼の自動を奪って
私と正反対の動きをさせることが出来る

右手を上げると左手をあげ
後ろに下がると前へ進む
私が見ていないと
何をしているかは知らない

反転する魔法は、誰でも知っていること。

時計の針すべてが12を指し
太陽が真上に昇る頃
地面で彼の両手と合わせ
目をつむる

すると、体の感覚は奪われ
彼と逆の動きしかできなくなる
真下に月が昇るまで
時計は壊れることがある。

意図的に壊す彼もいる。

反転した世界
彼の気がすむまで
踊り続けなきゃいけない
うまく踊り続けなきゃいけない

特に取り柄のない彼でも
唯一確実に操れる
私の自動を奪って
彼と正反対の動きをさせることができる


自由詩 影遊び Copyright 麒麟 2008-01-30 02:46:08
notebook Home