未詩/独白/告白
佐々木妖精

写真にない記憶の中で
四つ葉のクローバーというものを
探し当てた
四つという概念に覚えがあり
クローバーというものをすでに知っていた
だからこれが
初めての記憶ではなかったのだろうが
初めて感じたのは
恥ずかしさだった
とてつもないことをしてしまった
という言葉を知らなかったからそれは
感じたのだろう

激しい不快感
に似た
何かは
褒められることに対する
おそれ
なのか
頬でうごめく指の
不可解な動き
というのか

好きなようにしていいんだよ

という言葉が

私に逆らうなという意味であったのか


ソはそら豆のソというシールを眺め
ピアニカを吹き考えていた

チョコレートをくれた同級生の額に肉と書いた

卒業写真を焼き捨てた
かえってネガだけが焼き付いてしまったため
それごと燃やすべきだったのだが
方法を思いつけない

100数えている間に
別に帰ってしまってもいいのだと
気づけた鬼ごっこや
思い切って左手で握った
クーピーは
楽しかったのに

指摘された途端
恥ずかしさに突き崩され
さみしさを忘れた

さ み し い

という文字はあまりにもさみしく
かけ離れている

孤独な状態をそう説明することは
できないのだが

恥ずかしいと感じることは
恥ずかしいという言葉は
ただそれだけで恥ずかしい



上下関係は嘲笑うためだけにあり
足並みは乱すためにあった

幸運にも
その度に私は頭を撫でつけられ
手を引いてもらってきた

その都度降り積もる手を突き破り
素肌の感触に鳥肌を立てた

あなたは私の感覚を全否定する



時間が粉砕され
さ/み/し/いという点線は切り刻まれ
恥ずかしいという幾重の点になる

さみしさの不在は
線という感覚の喪失だと思う

そして
意味だけが残る



あなたの感覚に報いたくて
私は私を全否定する
感触は慣れが必要なほどに冷酷だったが
好意は温かかった
振り返って手を結ぶ
よろしく


自由詩 未詩/独白/告白 Copyright 佐々木妖精 2008-01-29 12:43:00
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