「借部屋」
菊尾
もうここに望むものは無いから
左手にある出口から出て行ったらいいよ
追うことはしない
追うことはもう止めるから
淡白な日曜日に落下した
簡潔な性格がことごとく
キラキラと乱反射する中
あっという間に砕け散った
束の間の玉座にて
嘲り笑う人を見た
意味ないねが口癖で
消えたいねは願望で
感謝したいその顔を絵の具で汚してしまいたい
こんな訳ないって
思い上がりがうつむいた
流したはずの気持ちは
いつも知らない間に傍にいる
君に残った正しさは
あとどれくらい持つんだろう
シーツが干してある屋上で
飛行機雲を見つけた時の表情は
君にまだ残ってる?
いつもと違う感じで唄ってよ
この日だけの特別で唄ってよ
いつもよりも聴き入るから
浮かばれない僕らを流すため
正しさだけで唄ってよ
重い鉄扉の開く音
希望に呑まれる君の全身
送り出すこの部屋の冷静さ
踏んだ床は軋んで
別の誰かに僕はなる