残せたものは呼吸だけ
唐草フウ
冷たいカプセルの中に入って
胎児のポーズで丸くなる
深い空にのぼって ゆく
導かれて
見つめあったひとの顔を
ひとつずつ撫でて
片付くまでもう少し
あなたをのこして旅立ちます。
時間が3倍速で
フィルムは擦り切れていった
いつもあなたに言っていたね
この先長くこの世にいる気がしない、と
あなたもそれが安泰だと
望んでいたから
やっぱり
時機がきたみたいだ
赤い液に浸って
あなたの顔をなぞる
わたしが忘れても許してね
どこかで、あえるよ
どこかで。
自由詩
残せたものは呼吸だけ
Copyright
唐草フウ
2008-01-28 06:45:35