「トワル」
菊尾

寝過ごしても何も過ぎていない
共感ってどこまでが境界線?
居るだけでなんて、遠い昔話
存在感が欲しいだけ

繊細さが時に邪魔
寄せ集めで出来ている
「気にしなくていい」と
あなたが言う


原風景の片隅で
黒い草が揺れる
肩まで伸びた髪を切って
身体から離れさせていく


答えは出せないまま
手間のかかる人だと笑う顔
心配するのは私自身のこと
疑ったから歩いてこれた
考えは収束されない


哀しい歌が好き
歪な形の月を描いた
絶対は無機質だけのもの
私たちには無いからこそ
価値がある


金属の箱に閉じ込められたような夜
失った感覚を取り戻せるのは
きっとその手だけ
靴の先が細い
誰かの心に少し似ている


自由詩 「トワル」 Copyright 菊尾 2008-01-27 05:09:29
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