かるいからだ
小川 葉
高層ビルが地中に沈むと
私は懐かしい朝を迎える
夕焼けのような朝日を浴びて
新しいはじまりを思う
一番高いビルの辺りから
植物が芽生えやがて木になる
まるで高層ビルのように
その下にはかつて暮らした
雑草の町並みがある
私はその中に自分の家を探す
すると私の家族にとてもよく似た
虫が夕食を食べている
私だけそこにいない
ふと空を見上げると
空は空ではなく雲は雲ではない
別な何かであることに気づく
私も私ではなく
からだもかるいことがわかる
自由詩
かるいからだ
Copyright
小川 葉
2008-01-26 13:29:06