冬の彼方に進路をとれ
銀猫

冬木立、腕の隙間を
北西の風が吹きぬける二月
硝子を隔て、
わたしは陽射しを貪る


両の手を
時折、虹色に光る猫の背毛に沿わせ
体温を求めながら
かなしみを忘れるわたし

セーターの毛糸を通して
早すぎる春の温もりは滲み
色褪せた髪の先や肩に
希望、という名前をつける


風は
まだ途切れずにいる


忘れかけていたきみの声を
小鳥が囁き
時計の振り子が大きく揺れた

こんな風の日だったかも知れない
白いシーツの海から
抜け出して、空へ
きみが永遠を手に入れたのは


そこからわたしが見えますか
しあわせに笑っていますか
わたしの掌は忘れましたか

きみは、じゆう、
解き放たれて




自由詩 冬の彼方に進路をとれ Copyright 銀猫 2008-01-25 13:21:12
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