冬の彼方に進路をとれ
銀猫
冬木立、腕の隙間を
北西の風が吹きぬける二月
硝子を隔て、
わたしは陽射しを貪る
両の手を
時折、虹色に光る猫の背毛に沿わせ
体温を求めながら
かなしみを忘れるわたし
セーターの毛糸を通して
早すぎる春の温もりは滲み
色褪せた髪の先や肩に
希望、という名前をつける
風は
まだ途切れずにいる
忘れかけていたきみの声を
小鳥が囁き
時計の振り子が大きく揺れた
こんな風の日だったかも知れない
白いシーツの海から
抜け出して、空へ
きみが永遠を手に入れたのは
そこからわたしが見えますか
しあわせに笑っていますか
わたしの掌は忘れましたか
きみは、じゆう、
解き放たれて