海と空の間
doon
時間の過ぎた大きさを
ときに強烈に感じる事がある
不思議と馬鹿をやっていた時代に
さりげなく聴き濡っていた歌
時代を経た瞬間
実しやかに去来する空虚感
一歩も二歩も向こうにあったと思っていたものが
何れやがてという姿を仮初め
珊瑚の願う空模様
多くを置いていた事がはっきりと見える
呼吸の一つ一つが 故郷の中で突き動く中
大きくなった人の心の形まで
誰しもそのままではなくなっていくのが
泣いていいものなら泣いてみたかった
願わくば 珊瑚に空を与え給え
ただひたすらに現実は伸びている
この一言の中にいくらの残酷さが産み落とされており
嘆くことを躊躇わせていくのだろう
私はいつからか電球になりたかった
いつか
いつか訪れるよう
ただ一つ突き刺さる空虚感が
不確かに生への道標になっていた
珊瑚は知らない 海の向こうに空気があることを
人は知らない
死の向こう側にある本当のものを
知らないまま生き 知らないままに死んでゆく
精一杯身体を伸ばし
呼吸し 食し 子孫を作り 行き着く先まで生きていき
やがて死んでしまう
まるで
私達は空気という 海に抱かれて生きる珊瑚の様だ
その先の世界を
僕らは知ることはできない