ルーズアンドタイト
恋月 ぴの

ルーズな踝はいつのまにか姿を消し
タイトな紺色が街を闊歩する

こんな横並びを欲する時代だからこそ
曖昧なままでは許されないと言わんばかりに
膝上近くまで引き上げられた紺色に感じる息苦しさと
「自由」と言うことばへの拭いきれない喪失感

昨日までは許されたものが
ある日突然許されなくなることもある

誰の許しを乞うべきなのか
どうして許しを乞わなければならないのか

同じかたちと同じ色

「なめんなよ!」

そんなことばにある種の郷愁を覚えてしまうように
ルーズな踝が持てはやされた日々を懐かしむ季節は訪れる
それだからこそ
股間に忍ばせた刃先を研ぐように感受性を研ぎ澄ませてみる

下りホームへ向う階段をタイトな紺色が昇って行く
隠そうともしないスカートの奥から実存ってやつが顔を覗かせ

俯いたままの僕らに青春なんて無かったことを知る





自由詩 ルーズアンドタイト Copyright 恋月 ぴの 2008-01-24 19:05:44
notebook Home