器の笑い
アハウ
アイスコーヒーを注ぎいれた グラス
暖かな部屋
午後の陽射しは
読み止しの本の名は
『ルネサンスの占星学』
人が ぱらり ぱらり 行き交う
食器が カチ カチと音を立てて
動 く
「光についての論文『光論』において、フェチーノは
この言葉を反転させ、光の性質に関するヒントを
与えている。フェッチーノは「理性の光は、光の理性である」と
記しているのだ。」
ああ 無為のための読書
永遠に子供であるための血の滲む努力
大きなストロークで水を掴め!
水練のコーチの言葉は屋内プールに響く
洞窟の採光に揺れ輝く水面
青空に浮かぶ白い雲が湛えた水に形を残す
泉に湧き出る 清水 透明な感覚
無機的なプールの水
滴れの音に耳 澄ます
ガッシャーン
ウエイターの手から
食器が笑い転げ 落ち
こなごなに 砕ける