ネジ巻き飛行機械
狩心

君に呼吸をプレゼントしたい
酸素! 凍結!
熱次元のネジ巻き飛行機械
バッサ! バッサ!
落下する卵 割れる風船の寝息
面倒見のいいお婆さんの手が
背中から張り紙を滑り落とした
あと、それから、
ちょっとした事で団子虫になって 前のめりになる
別に解放された手が 包み紙に別の手を包んで寝息
変形した甲殻は 背中から酸素を取り込む 空気の管!
下っていく胃液 大腸の中を セメントの脂汗を掻きながら
ほんの少し
冬の雪の中に蝉を
泣き声が凍結と凍結で反射する プリズムの斜面
そこで小さな爆発
二階から飛び降りた子供を
空中を滑空する割れたガラスの破片が救う
ああ、突き刺さる事は無い
だって、友達だから。

ヘリウムの声に君は恋をした
金魚すくいの時に僕は
一度も紙を破らずに100匹以上すくった
全身に痙攣が走るほど 君は硬直して驚愕
そのまま石像になって 夜の宙を舞う
こんな時にキャンプファイヤーのダンスが役に立つ
日々を象徴した不規則な炎の動き
何が起きたって可笑しくないのに
君は予定調和の渦に顔を埋めた

手が離れていく
あんなに近くにいた別の手は
今、ここで
この手になっていく
丸められた新聞紙
丁度、握りこぶし大で
色んな情報を閉じ込めたまま石になる
それを投げる
熱次元のネジ巻き飛行機械は
音を立てて墜落する
バリバリと空間を切り裂くように
この空間の表面を引き剥がした向こう側の世界
どす黒い紫色で
変色した唇みたい
その亀裂が
真実を隠そうと閉じていく時
言葉が零れ落ちた
僕の知らない言葉で
読む事もできない
僕に足りなかったものは
人を理解すること

君の事は僕の辞書には書かれていない
誰もが持つ空白の一ページに何を書き込む?
セメントでできた湿地帯
暴れん坊将軍の横顔
そいつをビンタする
何か奥があるかのようにかっこつけたものを奥に沈めて
少しずつ奥にあったものが浮上する 近未来の空
阿修羅の手が 一つずつ果実を成す
天に伸びる木の枝に成りますように
小鳥がそこに止まりますように
果実を突付く空気の肌
切り替る季節が
また、生命を呼び覚ますように

二足歩行の原始人たちは
背中についたネジを
自分で巻く事ができない
友達にそれを巻いてもらって
原始人は飛び立つ
自分以外の空に

走れ
孤独を愛する心
迷路の循環に終止符を打つために
文章の末尾には句読点を忘れるな!
そこに閉じ込めた光
今だかつて無い
責任という言葉に
句読点を打ち込め!
私たちがそこに
立つ事ができるように。

辞書の空白は青褪めた恐怖
そこで寝起きする朝は
緑がいっぱいの景色
ペンも消しゴムも無い
身体で描く空中のキャンバス
トランペットの唇
ほら、
またあの
紫色の唇が見えた

空間の亀裂
無くしたものは記憶に留まる
記憶から欠落したものは向こう側の世界に張り付く
そして時々、
それが垣間見えては零れ
私たちに真実を教える



自由詩 ネジ巻き飛行機械 Copyright 狩心 2008-01-24 13:35:13
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
狩心 no まとめ 【 四 】