[:Runnin'
プテラノドン

明日は雪が降るというのでーというのは、
半分嘘で、もう半分は
興奮して眠れないので、
深夜から早々に、ヤクザな時間から
夜逃げするみたいに
出発するわけ。

途中、林に囲まれた
コンビニに立ち寄って
(だからって、そこは軽井沢じゃない)
駐車場に止まっていた警備会社の車は、
いつまで居るのかわからなかった。
男が車内で読んでいたのは、数年前の週刊誌。
それって、とっくの昔につぶれた旅館の
(もちろん、軽井沢なんかじゃなしに)
大浴場に置かれたマッサージチェアに
ふかぶかと腰掛ける
スーツを着た男の姿と
なんら遜色ない。
なんてことを、考えながら
冬空なんて、お構いなしに、
車を運転していても、
ラジオからまんま冬のオベラが流れ出す。
この上なく夜空が、
澄み渡っていたからか。
それ自体は沈黙しているだけの、
孤独な星が発する
沈黙の周波数と合ったばっかりに。
全くもって油断ならない。冬って季節は。
ラジオもろとも凍えてしまいそう。
ガラスを爪で引っかくような
甲高い声!といったら、
もう!

〈天気予報〉或は〈誰かのお天気話 〉
その通りに、雪が降りだそうとしているし、
ヒーターはぶっ壊れたまま復調の兆しなし。
で、吐く息は赤ちゃんのオムツより白い。
−つまり、ションベンもれそうだ!

そうじゃくても、結局のところは
魂の営みが溶かしちまう。
象徴すると同時に、焼失するのだ。冬は。
いつだって本気とまではいかないにしても、
たとえば、一緒に軽井沢へ行けたらとか、
君のことを考えてしまう瞬間が、
あるせいだな。


自由詩 [:Runnin' Copyright プテラノドン 2008-01-24 00:24:53
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