舌平目
小川 葉

死に満ちたものが
テーブルの上に並び
人もそれに並ぶ

生きた日々を語り合えば
舌平目のように
触れあう肩が懐かしい

記憶の一番懐かしいところで
からだをひるがえし
鰭をたなびかせて
色のない時を滑っていく

目を覚ますと
舌平目を食べている
僕の肩がまだ少し
濡れてることに気づかない
妻の肩にもまた
湿った砂が付いている

おいしいのに
何故かとてもせつない


自由詩 舌平目 Copyright 小川 葉 2008-01-23 23:45:20
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