弾かれたひと
恋月 ぴの

あなたは並んでいる
両手をポケットに突っ込んで
似たような後姿に紛れ

我先にと腰掛けた当り台に陣取り
ぎんいろの球を弾く
時間を浪費することへの悦楽と
日常とは隔絶された光と音の饗宴に酔いしれる

やがて積み上がるであろう
ドル箱と言う名のエル・ドラード

球を弾く行為をも機械に任せ
貧乏揺すりはリズムを取るためだと
止めたはずのタバコに火をつけた

弾いているつもりが
いつの間にか
弾かれていることも知らず

勝ったときの残像に追いすがろうとして

ぎんいろの球の重さと引換えに
あなたの差し出したものは



自由詩 弾かれたひと Copyright 恋月 ぴの 2008-01-21 21:14:21
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