トゥデイ
ねことら



プラットフォームの
割れた電光掲示板
傷ついた蛍のように
オレンジに
滲んで


ゼリー状の夜を滑りゆく
ゆるやかに
最終列車のネオン
行先不明の僕たちは
いつだって最後の乗客だった



窓の外に飛び交う雪の鋭さと
透明な警笛、かすかに
伸びるライトは
僕たちの空想の限界点を
静かに洗っているよ



トゥデイ
トゥデイ、



後部座席にふたり腰掛け
君が読む詩集には
僕たちが吐き出した
いくつもの間違いが
間違いのまま載せられて


脆くて


その正しさを告白しても
罪にはならないから
灰色の髪を垂らして
窓の遠くを眺める
君の涙を拭った


夜汽車、
月の欠けた夜を
幾千層に纏うよ
置き去りにされた記憶は
きらめいて
プラスチックレイル
僕たちは
終点からはじまった



隣でちいさく寝息を立てる
君の手をそっとにぎって


いつまでも
朝だけはいらない








自由詩 トゥデイ Copyright ねことら 2008-01-18 23:24:07
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