支離鳥の唄
木屋 亞万
羽根を逆立てて固めている
翼をだらだらと垂らして
洒落てるつもりらしい
胸焼けでもしたみたいに
嘴を半開きにして
眉羽をしかめている
しなだれた両翼は
地面と密接で
曲線と直線で
木を羨ましがらせた
君もやると良いという
独り言を受けて楓は
振り返るように捻れた
卵をじゃらじゃらと
穴を開けて糸を通して
首にぶら下げている
かつては鳥の体内にいて
核から生成されたはずの
カラカラに乾いた殻に
いるはずの子どもはいなかった
食べ物が毒されていた
誰が疑うのだ
飛んでいる虫達が
食べられるはずの虫達が
壊れたまま生きていたなんて
食事をするたび
身体も頭も馬鹿になっていく
生まれたての子馬か小鹿か
ちゃんと立つ事も出来ない
脳ももう痺れてしまって
半透明の液を出している
空と引き離された鳥は
自然と引き離された鳥は
全身を引きずり歩きながら
壊れた頭をからからと
砕けた殻をぐしゃぐしゃと
踏みつけながら
昔を想いカリカリと泣いた