報 道
beebee
米人記者は
跪き、
爪先の攻撃の内に
大地の上に横たわった。
軍兵の銃口は
彼の目をつむった背を狙い、
弾丸は無音の内に
彼の右背から左腹へ抜けた。
石を落とされたでもしたような
反動と、
土煙と、
大地の熱気に凝まりついた時間の中で、
彼は無意味に死んだ。
死とはこれほど無意味で
無機的なものだとでもいうように、
彼は体をつとゆすると、
力を四囲に四散した。
あとは
物言わぬ物体が
一定量の空間を占め、
物理的な重さ以外に
その存在を計ることはできない。
そこでは
死はあまりに無意味だった。
衝撃と無と死。
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現実としてのそのリアルさは想像の余地を残さない絶対的な暴力であり、現実(リアル)でした。映像という暴力に私はぶん殴られ呆然としました。南米の内戦を伝える報道映像を見た時のことです。
その米人記者はまったく無音の情景の中で、検問の軍兵の指示で車から降ろされ、跪き、両手を上に上げて、従順を示していました。気まぐれなその兵士は靴のつま先でこづきながら、俯せに寝かせ、その背中から何の躊躇もなく、ドンと一発で撃ち殺したのです。
その音の入っていない映像は熱帯の情景と共に、あたかも非現実的で非情な情景を完璧に表現していました。凝固したような一瞬の時間をどう表現していいか分りませんでした。今もどう言い切ればいいのが考えてしまいます。読んで見てください。
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散文詩