希望
大覚アキラ

かみさま って
ひらがなで書くのは反則だ
世界 ってやつをひっぱり出すのも
ルール違反ってことにしよう

そこから
おれたちはまず
書きはじめなくてはならない

雨上がりの
濡れたアスファルトに
教室から盗んできたチョークで
真っ白な線を一本引く

誰かのケータイのアラームを
スタートの銃声の代わりにして
おれたちは一斉に走り出す

ぶん殴るみたいに
両手をめちゃくちゃに振り回して
ふてくされたガキみたいに
両足をでたらめに蹴り上げて
おれたちは一斉に走り出す

スクランブル交差点のどまんなかに
ぽっかり開いた
バカでかい穴に向かって

正直
半分ぐらいは
もうどうでもいいって思ってる
残りの半分は
希望に似た気持ち

まとわりつく空気が重くて
吐き気がこみ上げてくると
おれたちの唇から
かみさま って言葉が
こぼれそうになる

そいつを必死で飲み込んで
目をつぶって飛び込む
スピードを落とすことなく
スクランブル交差点のどまんなかに
ぽっかり開いた
バカでかい穴に飛び込む

そんなふうにして
おれたちはまず
書きはじめなくてはならない

とりあえず
水を
探しに行こうぜ


自由詩 希望 Copyright 大覚アキラ 2008-01-16 15:44:48
notebook Home 戻る