loop
ましろ

loop

三十回目のバースデーの朝
女は眠りの靄のなかつぶやいた

目をあけカーテンを開ける
飛び込んでくる朝陽
loop

携帯が光っている
Eーmailあり

午後3時の遊歩道
一本だけの紅葉
落ち葉の上をカサコソと歩く
ほおづきをみつけて こっそりぼんぼりをもぐ
破いた袋から
茶色く萎びた臍の尾のようななにか
黒々と光る土を見渡す
冬の始まり

遙か昔 
母の羊水に
まるくなって浮かんでいた
まあるい宇宙に身をゆだね 
耳をそばだてて

いつの頃からか
拒絶してきた
ひとつの丸い輪というもの
母の愛も 父の愛も 友情はまして!

あっちこっち飛び跳ね 凹み突き出
弾丸のように駆けて
止まった

全てを捨て全てを失った あの日
訪れてきた かけがえのないものたち
帰ってきた 愛しすぎるものたち

地球
loop

部屋の隅で ひとり
届いたバースデープレゼント 電話のベルが鳴っている
膝を抱えまあるく一つになって
三十路女は満月を仰ぐ


自由詩 loop Copyright ましろ 2008-01-15 15:55:16
notebook Home