おみくじ
北大路京介
初詣デート前日
明日 お参りした後
おみくじ ひくことになるだろう
『大吉』か『大凶』じゃないと 中途半端だから
さきに神社に行って『大吉』か『大凶』出るまでひいておこう
『大吉』が出たら 彼女がひいた おみくじとすり替えてあげよう
『大吉』が2回出たら 僕も大吉でいいや
身長も すっごい高いか すっごい低いほうが オイシイと思う
平均身長 平均体重 平均年収 すべてがコンプレックス
「両極端」と呼ばれても おもしろくないと
『大吉』か『大凶』か それ以外はNG
明日のデートコースも下見を つっこめそうな看板や店もチェックを
僕は『おみくじ』をひいた 何回も何回も
中吉 小吉 吉 半吉
末吉 末小吉 凶 大凶
なんだ これ 末小吉って これもこれで おもしろいような気もするが
なかなか『大吉』がでない
もしかしたら この神社 『大吉』ないんじゃないの?
いちおう神社の人に確認をしてみる
「 あのー 大吉って 出ます? 」
「 うちはねぇ 大吉少ないのよ 」
なんだ それ 正月は『大吉』出やすいじゃなかったっけ ただの噂か 都市伝説か
また僕は 『おみくじ』をひきだした 何回も何回も
出た!
やっと出た『大吉』! ばんざーい
「 全部ひいたんじゃないですか? コンプリート 」
「 うちはねぇ あと『大大吉』があるのよ 」
えぇ〜 出さなきゃ 『大大吉』出さなきゃー
まさか『大大凶』は無いよな あったら あったで 『大大凶』も欲しいけど
もしや『特大吉』は無いよな あったら あったで 『特大吉』も欲しいけど
それから また僕は 『おみくじ』をひきだした 何回も何回も
出た!
やっと出た『大大吉』だ ふぅ もう憔悴しきってる
明日のデートに元気で行けだろうか
僕の財布も だいぶ痩せてしまった
明日に備えて早めに寝よう
今夜は早めに眠ろう
そ し て 翌日
彼女と並んで 二礼・二拍手・一礼
お賽銭は奮発しない 昨日あんだけ神社に貢いだんだ 御利益がないはずがない
さてさてメインイベント おみくじタイム
彼女のひいた おみくじを うまくすり替える
可愛いとはけっして言えない巫女さんが
「 あれ? 昨日 いっぱい おみくじひいてた人ですよね おみくじ好きなんですね 」
なにを言いやがるんだ この巫女オンナは
空気を読めよ この妖怪め
「 昨日、誰と来たのよ! 」 彼女は激怒
「 ひとりに決まっ いや、昨日も来てるわけないじゃん! 今日来るんだもん!」
人間違えだ 人間違えということにしとこう
「 僕、ここにくるの初めてですよ 初詣ですもん いやだなぁ 巫女さん 誰かと間違ってるんじゃ 」
巫女は状況を飲み込めてない様子
そこへ宮司が現れて
「 こんど『大大凶』も作っておくから また『おみくじ』ひきにきてね 」
この状況が すでに 大大凶